ふるさとと、音楽
あっという間に9月に入って、日に日に街の空気からも秋を感じるようになってきました。楽しい夏の思い出に浸って、1か月前に戻りたいとか、ちょっと切ない気持ちになる時間が結構好きだったりします。あなたの夏の思い出を、是非教えてください。
夏といえば―――
あれから数十年経った今でもイメージしてしまうのがやはり「自由研究」です。ありとあらゆる結晶を作ったり、作物や種の断面をひたすらスケッチしたり、大好きなシャボン玉のことを研究したり。今思い返すと、どれも夢中になって、楽しんで取り組んでいた自分がそこにはいます。
大人になった今、自由研究をできるとしたら、自分の手で楽器を作ってみたいと常々思っていたのですが、【地域の木材で木琴を作る】というとってもSTEAMな授業が、北海道の中頓別町の小学校で行われていました。
*総合的なふるさと教育の実践:地元産の木材を用いた「木育STEAM教育」の実際(「道北音楽教育研究所道北おとぼけキャラバン」YouTubeチャンネルより)
https://youtube.com/watch?v=61PEMBwMYHA&feature=shared
木材で作る打楽器も温もりがあって良いのですが、この授業でテーマになっている木琴は、自分で音板(ピアノでいう鍵盤)となる木の長さを調節しないと音階にならないので、どれくらいの長さにすれば良いのか?太さも関係あるのか?などなど、子供たちの試行錯誤の結果出来上がる少し難易度の高い楽器なのです。
この「木育STEAM教育」の授業では、木琴を作る授業の他にも、ふるさとの森を知るために実際に森の中で観察を行う授業、木琴が出来上がった後には仲間と木琴を使って作曲をする授業、そして再び森に入って自分たちの木琴の音を森に聞かせて、最終的には植樹を行う授業などがありました。
「音楽」をキーワードにして、算数(しかも子供たちにとっては未習の分野の話が出る)、環境や地域、生命、そして仲間との協同など、多くのことを学んでいる様子が印象的でした。授業の冒頭で「今日これからやるお勉強は(将来)役に立たないかもしれない」と先生が仰いましたが、きっと子供たちは多くのことを感じ取って吸収したのではないかと思います。こんな「ふるさと」授業を、日本各地でも多くの子供たちに受けてもらいたいと思いました。
楽器作りもそうですし、今や多くの方が楽しんでいる音楽フェスも持続可能であることが求められています。大好きな音楽をこれからもずっと楽しんで、守っていくために何ができるか。これから先もずっと考え続けないといけないこのテーマについて、身近なもの(ふるさと)とともに幼い頃から学べる場を創る、そんな自由研究を是非やってみたいと思う夏の終わりでした。